安倍政権は本当に「新型コロナ」を終息できるのか
次は(2)「本当に終息に向かわせられるのか」について。
インフルエンザウイルスの予防に関しては、一般的に、温度20~25度程度、湿度50~70%程度を保つことが予防のひとつといわれ、夏場に流行ることはほとんどない。しかし、新型コロナに関して、その傾向が確認されていない。夏風邪というのがあるくらいだから、夏場にも流行するリスクは決して低くない。
これは医師としての私の推定だが、現在、新型コロナは東南アジアなどでも相当数の感染者が出ているのだから、高温多湿にも強い特質も備えているのではないか。(※)
※世界保健機関(WHO)は3月6日、「インフルエンザのように夏が来れば新型ウイルスが消失するの考えは間違った期待だ」と発言した。
武漢という都市は、日本企業の工場も多く、日本との交流が深い街だ。コロナウイルスがニュースになる前に日本に入ってきた中国人はかなりの数いるはずで、その中にかなりの数のウイルス保有者がいても不思議ではない。
ここへきて国内の企業は、テレワークや時差通勤を推進しているが、それでも依然として満員電車での通勤を余儀なくされている人は多い。ということは、近いうちに新型コロナ検査キットなどが普及すれば、感染(陽性)者数はどんどん増えると思われる。
春休みが終わった時点で、感染者が数千人(3月4日時点で1000人超)というような状況となって、はたして休校を解除して、1学期を始められるだろうか。オープン戦は無観客試合と決めたプロ野球もレギュラーシーズンに入ったからといって、観客を球場内に迎えることができるのだろうか。日本は密閉式のドーム型が多いのである。
4月になってもおそらく終息宣言は出せないと私は見ている。「新型コロナは致死率が低いから、学校に再び通ってもいいし、多くの人が集う場所でのスポーツ観戦も自由にどうぞ」という結論には至らないだろう。
感染してしまった後の対応が二の次にされている
最後に(3)「感染してしまった後の対応が二の次にされていないか」である。これに関しては政府もマスコミも、「感染拡大の阻止」に力を置きすぎている。
この記事を書いている途中で、日本の島津製作所がわずか1時間で新型コロナの感染の有無を判定できる機械を開発したことを発表したというニュースが出た。
政府の検査態勢が後手後手だったと批判される中、これが普及すれば、かなりの人の検査が可能になる代わりに、感染者と判明する人はものすごい数で増えるだろう。そうなったときの準備・対策を厚労省はしているだろうか。おそらくそこまで手が回っていないに違いない。