私の周囲にはいませんが、SNSを見ると、悲惨な話を目にします。例えば、春節明けに予定していた内臓の手術の予定が延期になり、病状が悪化したとか。新型コロナウイルス以外の病気で亡くなったけれど、外に出られないのでお葬式が出せないとか。結婚式が無期延期になったなど……。

皆、SNSで悲しいことやつらいことを共有していますが、高齢者はSNSも使えないし、ただじっと現状を受け入れ、耐えるしかありません。家族が武漢に戻って来られない人や、武漢出身ではなく、武漢の外にいる家族がいる人は、本当につらいと思います。

以上が女性との主な会話だ。

「外の空気を思いっきり吸いたい」

女性は大学講師という比較的恵まれた立場にいて「ネットと食料品さえあれば、何とか1日をやり過ごすことができるので、私は大丈夫です」とつとめて明るく話していたが、都市機能がほとんど失われてしまったこの1カ月間、ときには理由もなく、ふと心が折れてしまうこともあったという。

生活必需品は間に合っているといっても、美容院にも行けないので髪は伸びてしまうし、運動不足にもなる。通販サイトなどを見ると、ヨガマットや口紅、バリカンなどが売れているようだが、長びく籠城生活は、精神的にもボディーブローのように効いているに違いない。

特に「いつ収束するのか分からないことが不安」だと話していたが、日本に住む友人からの励ましのメッセージもいくつか受け取ったとうれしそうに話していた。しかし、この女性のような立場の人はそう多くはいないだろう。

女性は「武漢の大学が本格的に再開されるのは、企業の再開よりも後になるかもしれません。まだ当分、この生活が続きそうですが、とにかく早く元通りに戻ってほしいです」という。

「武漢の空気はもともとおいしくないですが、それでも、やっぱり外の空気を思いっきり吸いたいです。ゴーグル抜きで」(女性)。

おそらく多くの武漢市民が同じような思いを胸に抱きながら、閉じ込められた部屋の窓から広い空を眺めているのではないだろうか。

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