「事態はわずかに好転しているのでは」

女性は武漢が封鎖される前、12月末から不安な毎日を送ってきたというが、「最近、ようやく大学のオンライン授業が始まりました。資料を作ったり、学生とオンラインで会話したりできるようになり、少しだけ気持ちが晴れて、張り合いも出てきました」といい、電話口の声は意外にも明るかった。

中国の病院
写真=Sipa USA/時事通信フォト

封鎖されてからのこの1カ月、政府からの通達にとくに大きな変化は感じないというが、武漢市の発症者がピークに達したとの報道を彼女も目にしており「事態はほんのわずかだが、好転してきているのでは……」と感じている。むしろ、武漢の例を目の当たりにしながら、1カ月遅れで流行が始まった日本や韓国のほうが心配だ。

私は女性にどんな日常生活を送っているのか聞いてみた。もちろん、同じ武漢市といっても、居住地区によって行政の対応は異なり、人によってもストレスの感じ方や過ごし方は千差万別だが、この女性や、その両親の話から、そのごく一端はうかがい知ることができた。

以下、女性とのやりとりを紹介する。

敷地のゲートでは出入りする人の体温を測っている

——外出制限があるので、生活は不自由でしょうね。

はい、外出は許可されていませんので、24時間ずっと家の中に閉じこもっています。私は家でネットを見たり、仕事(研究)したりしています。地域によって、あるいは職業(公務員や医療従事者など)によっては「居民出入証」といって、マンションから仕事に出かける際のパスポートのようなものが発行されますが、私は持っていません。

私が住んでいるマンションは数棟あり、それらが一つの「小区」(エリア、敷地)になっています。2つあるゲートのうちの1つは1月下旬から閉鎖されていて、残りの1つは、どうしても出入りしなければならない人が使っています。その入口には管理人やボランティアの人が立っていて、常に出入りする人をチェックしたり、体温を測ったりしています。

私が住む「小区」には大学関係者がかなり多く、一般的なファミリー層が多い「小区」とは少し雰囲気が違うかもしれません。ふだんは全体で4000~5000人が住んでいると思いますが、教授の中には、大学に近いこのマンション以外にも別のマンションを持っている方が多く、春節に地元に帰った方はそのまま戻って来られないので、今、敷地内は閑散としています。