社員からよいアイデアが出てきたら、シュリヒティングはその実行を彼らに任せることにしている。「プロジェクトを任せることで、彼らの誇りを高めることができる」と彼は言う。「そのプロジェクトは彼らのものなのだから、きちんとやり遂げたいと思うわけだ」。シュリヒティングは、四半期ごとの部の小規模な集会で、いいアイデアを出した社員を表彰するよう心がけている。また、適切な場合は、会社全体の表彰プログラムなど、より大きな栄誉の候補者として推薦する。

シュリヒティングの部では、5人の社員が銀賞を獲得して賞金300ドルを手にしている。そのうちの2人は、金賞の候補者として、コンペに参加した。その1人が、保険金支払い月次報告書を加入者に電子メール配信するアイデアで、年間プラチナ賞と賞金5000ドルを獲得した。

「それは彼のアイデアで、彼が自分の仕事として実行した」と、シュリヒティングは語る。「予算がつかなかったので、すべて部内でやった。みんなが成功させたいと思い、みんなが残業した」。

これらの例が示すように、マネジャーと部下との強い絆は誇りを培うのに欠かせない要素である。

「触れ合いと信頼と誇りは互いに絡まり合っている」と、ミシガン州サギノーにあるパワートレイン工場の工場長を務めるGMのリック・サットンは言う。「誇りを培うためには信頼が必要で、信頼を築くためには触れ合いが必要だ」。

しかし、職場もシフトも異なる何千人もの社員を統括するマネジャーの場合、どうすれば社員たちと直接、コミュニケーションをとることができるのか。サットンは一つの方法としてビデオ・メッセージを使っている。

「彼らがいかにすばらしい仕事をしているかを多くの謝辞や賛辞とともに伝え、勝利や成功に導いていく。それから、今度は次の仕事にエネルギーを向ける必要があると話すわけだ」

サットンはこのビデオを使って社員に招待状を送っている。「うちには140のチームがあるが、私はこれらのチームに呼びかけている。『もっと深く話したいというチームがあれば、私はいつでもそこに出向いてチーム・ミーティングに参加する』とね」。

実際、サットンは平均週1回のペースでチーム・ミーティングに出席しており、社員の生の声を聞く。

「自分の部屋にこもったまま、何層ものマネジメントによって濾過された情報を受け取るのと、現場の人間と直接、顔を合わせて話を聞くのとでは大違いだ」と、彼は言う。それに劣らず重要なのが、そうした場で表明された社員のニーズに応えることだ。「私が彼らの問題を気にかけ、力になろうとしているとわかってもらえたら、組織内のエネルギーは目を見張るばかりになる」。

サギノーではこのやり方が効果を上げてきた。サギノーの社員は99年以降、総額50万ドルにも満たない資本支出で毎年2000万ドル以上のコスト削減を実現してきた。

「誇りを持った社員がどれだけの才能や能力やパワーを発揮するかを本当に理解したら、これはさほど驚くような数字ではないはずだ」

(翻訳=ディプロマット)