仕事の本質の部分で誇りを持たせる

デーブ・トンプソンは93年、ユノカルのバン油田(テキサス州)の計測技師に任命された。油田から汲み上げられる石油や天然ガスの量が正確に記録されるようにするのが、彼の仕事だった。

これは石油については難しい問題ではなかったが、天然ガスとなると話は別で、天然ガスには誰もたいして関心がなさそうだった、と彼は語る。事実、北米のユノカル社の油田で、天然ガスの計測監査をパスしているところは、ここ数年で1つしかなかった。

問題は、ガス量を記録する機械は彼の管轄だったが、記録器を24時間休みなく作動させることに直接責任を負う人々は彼の指揮下にないという点にあった。そこでトンプソンは、彼らの誇りに訴えた。

「反応は必ずしも好意的ではなかったが、私は彼らに言った。『少なくともこの機械がどういうもので、どういう役目を果たしているか知る程度には、自分の仕事に誇りを持つべきだ』と」。

彼は単純なたとえ話を使った。「車に給油しているとき、ガソリンはまだ入っていくのにメーターが5ガロンで止まって動かなくなったとしよう。その場合、君は5ガロン分の代金しか払わずに行ってしまうなんてことはしないだろう?」。

それから2年後に、ユノカル社の監査人は、天然ガスの計測に関する監査でバン油田に「B」相当の評価を与えた。「これは大きな景気づけになった」と、トンプソンは振り返る。「バン油田とその従業員がすばらしい仕事をしていることに誇りを持つようになった」。その2年後、バン油田は、ユノカル社の監査人が30年のキャリアの中で初めて与えた「A」評価を獲得した。

「彼らの」アイデアを「彼らの」手柄に

保険会社、アエトナの顧客連絡業務担当マネジャー、リッチ・シュリヒティングは、16人の部下と緊密なコミュニケーションをとっている。これらの社員は、自分が携わっているプロジェクトを完全に「自分のもの」にしている、と彼は言う。

初めて今のポジションに就いたとき、彼は、このグループにはリーダー的存在の社員が2人いることに気づいた。

「皆がこの2人を頼りにしていた。そこで、まずこの二人に的を絞ることにした。業務改善のために何ができるかを尋ね、信頼を勝ち取ることにした」