また、移民の出身国によって、経済的に成功するかどうか違いが見られるとされている。経済的に豊かな国からの移民は、入国直後の賃金が、アメリカ人の賃金と比べても高く、逆に、貧しい国からの移民は低い傾向がある。教育水準の違いが、こうした賃金格差の主な理由とされている。通常、豊かな国からの移民は、高い教育を受けているからだ。

注2:Borjas, G.J., 2016, We Wanted Workers: Unraveling the Immigration Narrative, New York: W.W. Norton & Company (ジョージ・ボージャス〔2018〕『移民の政治経済学』「第4章 移民の自己選択」白水社).

どのような人を隣人として迎えたいか

さらに面白いことに、同じ教育水準であっても、豊かな国からの移民の方が、貧しい国の移民より、経済的に成功する傾向がある。豊かな国からの移民は、受け入れ国でも通用する技能を持っているからではないかと推測されている。一方、貧しい国からの移民はそうした技能がないことになる。

友原章典『移民の経済学』(中公新書)
友原章典『移民の経済学』(中公新書)

こうして見ると、誰を移民として迎え入れたいかといった際、暗黙のうちに、国の選択をしている可能性がある。たとえば、受け入れ国でも通用する技能が、受け入れ国が必要としている技能だとすると、豊かな国からの移民を推奨することになる。

一方、サービス産業の人手不足を解消したいのであれば、所得格差が大きく、単純労働者が低賃金である発展途上国からの移民を念頭に置いていることになるだろう。また、社会規範が似ている国の人の方が、一緒に暮らすのも安心だと思うかもしれない。

どのような人を隣人として迎えたいかの基準が分かれば、明示的に国の選別をしなくても、自然と対象となる国も絞られてくるだろう。すると、国の選別自体を議論することは、あまり意味のないことになる。

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