どのように質問すべきか

質問の仕方として最も効果的なのは、互いに協力していこうという雰囲気の中で尋ねることだ。「うまく協力していけるよう、知っていることを教えてほしい」という雰囲気である。部下のほうからも安心して質問できるように配慮することも必要だ。

バンク・ワン・ファイナンスとフォード・ファイナンシャルの元CEO、ドン・ウィンクラーは、「役職の垣根を取り払って、完全に一まとまりのグループとしてコミュニケーションができる仕組み」をつくることが大切だと言う。「私はそれを家族会議と呼んでいる。家族会議は利害関係者の集まりであり、自分のビジョンや目的、戦略目標を達成するための手段を明らかにする場だ」。家族会議では、社員は、通常の場なら経営陣に対する批判と受け取られかねない質問でも、自由にぶつけることができる。

「ひと(社員)を最優先することが、ブレークスルーを生み出し、維持していくための土台をつくる」と、ウィンクラーは言う。「家族会議には責任のなすり合いが入り込む余地はない」。

何をいつ質問すべきか

プロジェクトの進行に伴い、それぞれの段階で尋ねるべき質問がある。以下に順を追って説明してみよう。

[1] 現状を把握する

 マネジャーはまず、現場で何が起きているかを知る必要がある。だから、定例会議やスタッフミーティングの最初には必ず、社員にとって今一番気になっていることを聞き出す質問をしよう。同様に、会議の終わりには、「ほかに言っておくべきことはないか。質問はないか」と聞くことにしよう。

重要なのは、できるだけ中立的な問い方をすることだ。誘導的な問い方をすると、自分が何を聞きたいのかを社員に察知されて、社員の発言の範囲が狭まることになる。