2つの神経のバランスが大切

もう少しだけ、詳しい説明をさせてください。自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2種類からなっています。交感神経とは、自動車にたとえるならアクセル。血圧は上昇し、気分も高揚。この働きが上がると、心身ともにアクティブになります。ただし、緊張度も高まります。

一方、副交感神経とは、ブレーキのようなもの。副交感神経の働きがアップすると、血管は適度な状態で緩み、血圧は低下、気分が落ち着いていきます。肉体はリラックス=弛緩の状態へと向かいます。

自動車がそうであるように、アクセル一辺倒でもブレーキだけでも立ちゆきません。どちらかに偏ると、途端に問題が生じます。交感神経と副交感神経がバランスの良い状態にあることが、自律神経にとって大切なのです。

交感神経と副交感神経のバランスは、1日中、たえず変動しています。大まかに言えば、朝から日中にかけては交感神経が優位に働き、夕方から夜にかけては副交感神経が優位に働きます(「自律神経の1日の動き」参照)。ただし、一方が高ければ、一方が低い、という単純な関係にはなく、バランスが崩れると、心身に支障をきたします。

パフォーマンスや免疫力の高さは科学的に説明できる

また、自律神経を計測すると、大きく次の4つのパターンに分かれます。

①交感神経も副交感神経も両方高い
②交感神経が高く、副交感神経が極端に低い
③交感神経が低く、副交感神経が極端に高い
④交感神経も副交感神経も両方低い
自律神経のマトリクス

ちょっと調子が悪いな、という時は、たいてい②か③のバランスの崩れた状態に陥っています。一方で、最も良いパフォーマンスを出せるのが①、疲れやすく体力もない状態が④です(「自律神経のマトリクス」参照)。

ただし、交感神経と副交感神経の差が、少しだったら何ら問題はありません。

例えば、「高パフォーマンス」「仕事ができる」と言われるビジネスパーソンの多くは、交感神経が優位な状態にあります。スポーツ選手も同じです。

一方で、周囲がインフルエンザでバタバタ倒れているというのに、ひとりだけかからずにピンピンしている人がいますよね? こういう免疫力が高い人はたいてい、副交感神経が優位に働いています。