人気マンガ『鬼滅の刃』の小説版がシリーズ累計で100万部を突破した。ライターの飯田一史氏は「『人気マンガの小説版なのだから売れて当然だろう』と思う人もいるかもしれない。だが、それは違う。集英社がこれまでのノベライズの常識を大改革した結果だ」という――。
マンガも小説も大ヒット『鬼滅の刃』
『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載中のマンガ『鬼滅の刃』が大ヒットしている。2016年から連載が始まり、2019年のTVアニメで人気に火がついた。コミックス最新19巻の発売で、シリーズ累計の発行部数は4000万部(電子版含む)を突破している。
『鬼滅の刃』シリーズは、集英社のJUMP j BOOKSから小説版も刊行されている。第1弾『鬼滅の刃 しあわせの花』、第2弾『鬼滅の刃 片羽の蝶』の合計で累計116万部を突破した。レーベル史上最速の売れ行きだ。
「人気マンガの小説版なのだから売れて当然だろう」と思う人もいるかもしれない。だが、それは違う。そもそもノベライズが1巻で数十万部も売れるのはまれだ。マンガのノベライズはアニメ化や映画化に合わせて1冊出すだけで、原作マンガが何百万部売れていても小説版の売上は良くて数万部といったものが大半だからだ。
ところが『週刊少年ジャンプ』からのノベライズを中心とするJUMP j BOOKSは違う。小説版第1巻が原作マンガ第1巻の約3~4割の売上を占めるタイトルもある。なぜ売れているのだろうか。