ナンバリングをやめて読者を広げる

JUMP j BOOKS作品のほとんどは短編集だ。読者は、どの巻からでも、どの話からでも読むことができる。そのため、2019年6月に編集長が千葉佳余氏になって以降、『鬼滅の刃①』のようなナンバリング(巻数表記)をやめることにした。

『鬼滅の刃』の小説版の背表紙(左2冊)とマンガの背表紙
撮影=菅原雄太
『鬼滅の刃』の小説版の背表紙(左2冊)とマンガの背表紙。小説版はナンバリングがない。

「ナンバリングされていると書店で新刊を見ても『続きものなのかな』と思って買い控えをしまう方が、かなりの数いたんですね。ですから現在ではどの巻からでも読めることを伝えるために、巻ごとでサブタイトルを変えています。『鬼滅の刃』でも実際に効果があったようで、アニメ放送中からファンになった方が、放送終了後に発売した『鬼滅の刃 片羽の蝶』で小説版の存在を知って購入、そこから第1弾の『鬼滅の刃 しあわせの花』も読んだ、という反応を結構見ました」(中本氏)

原作者や小説家の力あってこそというのは無論のことだが、集英社が長年培ってきたノウハウが投下されているからこそ、『鬼滅の刃』小説版の記録的なヒットが生まれたのだ。

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