一方で、「うちの部署の仕事は時間がかかるんだから、残業を減らしたら数字が落ちちゃうのに、会社はわかってないんだよね」と、残業が多いのを業務の特殊性のせいにして、労働時間を減らす努力を最初から放棄している管理職も少なからず見受けられます。やれ「うちの部署は特殊だから」と言う日本人のなんと多いことか!(笑)

もちろん、こんな言い訳を認めてはダメです。なぜなら、残業が多いのは業務内容ではなく、ほとんどの場合マネジメントの問題だからです。

どうすればもっと簡単にマネジメントできるのか

では、どうすれば部下の勤怠をもっと簡単にマネジメントできるのか。ポイントは3つあります。1つ目は、各メンバーの残業時間を一覧にして誰もが見られるようにする。残業の多い人はたいてい、自分の労働時間の把握ができていないうえに、自分だけではないと高を括っています。そこで、そうではないという現実を見せて自覚をうながすのです。

2つ目は、どのタスクにどれくらいの時間をかけているかを、全員に確認させる。これをやると、意外と移動時間が長いとか、使途不明時間がかなりあるとかいった、それぞれの時間の使い方の傾向がはっきりします。同時に、無駄や削れる部分も明らかになるので、残業を減らすための具体的な取り組みができるようになるのです。

3つ目は、その人に合った仕事を与える。発想力があるAさんには企画のアイデアを考えさせる、売上集計表の作成は、事務処理能力の優れたBさんに任せるといった具合です。人は誰でも向き不向きや強み弱みがあります。上司がそれを見極めて、それぞれが持ち味を発揮できる仕事を選んで与えるのです。

部下が自分で自分の時間をマネジメントできるようになって、なおかつ得意な仕事に集中できれば、残業は自ずと減り、逆に部署全体のパフォーマンスは上がっていくに違いありません。

そうしたら、上司も管理職としてのほかの仕事に、多くの時間を割けるようになるというわけです。

(構成=山口雅之)
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