働き方改革の進展に伴い、自宅などで仕事をするリモートワークを導入する企業も増えてきました。けれど、「会社にいないから評価しない」という昭和上司もまだまだ健在。カドを立てずに彼らを上手に説得する方法とは──。男性学の第一人者、田中俊之先生が教えてくれました。

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「目の前にいないから評価しない・できない」の不思議

オフィスに行かず自宅で働ける「リモートワーク」は、子育て中や介護中の人が働き続ける上でとても有効な仕組みです。近年は働き方改革の一環として、そうした時間的制約のある社員以外も対象としたリモートワークを取り入れる企業が増えてきました。

しかし、いわゆる“昭和上司”の中には「自分の目の前で働いていないから評価しない・できない」という人も少なくないようです。これは、彼らの評価基準がいまだに「生活態度としての能力(=生活のすべてを仕事に注ぎ込める能力)」に設定されているからだと思います。

この言葉は、1990年代に経済学者の熊沢誠さんが提唱したもの。それから何十年も経ち、多様な働き方が推進される時代になったのにもかかわらず、なぜ彼らは昔の評価基準を捨てられないのでしょうか。

まず考えられるのは、上司の目が届くところで、部下が働くのを最良の仕事法だと思い込んでいる可能性です。彼らにとって最も大事なのは、皆が会社に「いる」ことであり、効率性や生産性は二の次。そのため、部下がリモートワークで成果を挙げても、目の前にいないから評価しない・できないと考えてしまいがちなのです。

加えて、人間は年をとればとるほど、新しいものを取り入れるのがおっくうになります。頭では働き方改革を推進すべきとわかっていても、長年続けてきた仕事法はなかなか変えられません。そんな彼らには、どう対応するのが得策なのでしょうか。