新しい働き方へ踏み出せるよう説得を

昭和上司にとって「リモートワーク」は縁遠い言葉でも、「ペーパーレス化」や「生産性アップ」は響きやすく、かつわかりやすい言葉。いずれも、上司自身が上から推進するように言われている可能性が高く、リモートワークのメリットとして説得力があるかと思います。会社の方針や上司のタイプに合わせて、参考にしてみてください。

そして3番目の説得法としては、これは会社にもよりますが「グループウェア推進のきっかけになる」が挙げられます。グループウェアは、外出先からのスケジュール管理やファイル閲覧など、社員間での情報共有が簡単にできるツール。近年は、業務効率を上げるため導入している会社も少なくありません。

昭和的働き方に慣れている上司は、グループウェアがあっても利用には尻込みしがちです。それでも、会社が導入したのであれば「使ったほうがいい」とは思っているはず。リモートワークの部下とやりとりするには、グループウェアを使ったほうが格段に便利ですから、一歩踏み出すきっかけになるのではないでしょうか。

“わかってはいるができない”を何とかしてあげる

昭和上司は、昔ながらの仕事法を続けたがるもの。ただ、国や会社の方針も知っていて、頭では「働き方を変えていかなければならない」とわかっている人もたくさんいます。

それなのにリモートワークを評価しないのは、長年慣れ親しんできた評価基準が変えられないから、新しい仕組みがよくわからないから、そして新しいことを取り入れるのがおっくうだから。

これらは世代の違いとも言えるものなので、リモートワークにどんなメリットがあるのか、部署や会社の生産性にどうつながるのかをきちんと説明しさえすれば、「なるほどね」と納得してくれる可能性は高いと思います。

リモートワークは、働く女性だけでなく、男性にとっても仕事と家庭を両立する上でとても効果的な手段。日本社会全体にとって、多様な働き方を実現する上で欠かせない仕組みの一つです。「目の前にいないから評価しない」という男性上司がいたら、これからの日本社会のためにと思ってぜひ説得していただきたいと思います。

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田中 俊之(たなか・としゆき)
大妻女子大学 社会学専攻 准教授

1975年、東京都生まれ。博士(社会学)。2022年より現職。男性だからこそ抱える問題に着目した「男性学」研究の第一人者として各メディアで活躍するほか、行政機関などにおいて男女共同参画社会の推進に取り組む。近著に、『男子が10代のうちに考えておきたいこと』(岩波書店)など。