コストの低減と消費者の満足度の両立

具体的に、どのようにして大手外食チェーンなどが低価格での飲食サービスの提供に取り組んだかを確認しよう。

まず、低価格戦略を進めるためには、材料費、店舗などの賃借料、人件費などの抑制が欠かせない。正社員ではなくアルバイトの登用などによって人件費の抑制が目指されていることは言うまでもないだろう。さらに、材料費を抑えるために、大手外食チェーンの中には、自社の農場を運営し、野菜の種子の品種改良にまで取り組み、コストの低減と消費者の満足度の両立を目指す企業もある。

店舗運営にも秘訣ひけつがある。シンプルに考えると、店舗の床面積に占める厨房の割合を抑えることができれば、その分、客席を増やすことができる。そのために重要なのが、効率的に調理を行う仕組みを整え、厨房での作業に従事する人員数を減らすことだ。

中には、厨房を担当する人数は1人で十分と考えている企業もある。調理時間を短縮し、一定時間により多くの品物を提供できれば、資産の回転率を高めることができるだろう。それは、収益性の改善に重要だ。

外食チェーンの徹底した合理化

大手外食チェーンの店舗では、実際に調理をしないケースが多い。たとえば、サラダの注文を受けると、厨房ではカットされた野菜をサラダとして盛り付け、ドレッシングをかけるだけでよい。カット野菜の鮮度を保つための最適な温度管理を徹底して輸送網を整備する企業もある。

また、ハンバーグなど加熱調理が必要なものは、ひき肉をこねて焼くのではなく、事前に調理されたハンバーグをレンジなどで加熱すればよいようになっている。このようにして、省人化と提供時間の短縮が目指されている。

わが国の外食産業の一角では、徹底した合理化を進めることによって、調理担当者の経験などが違っても、常に一定の品質の商品が提供され、相応の満足度が得られる仕組みが実現されている。各企業がそうしたビジネスモデルを構築できたことが、「大手外食チェーン店のコストパフォーマンスは高い」との消費者の評価を支えている一因といえるだろう。