④ファイナンス:株式や債券発行、銀行借り入れ、自己資金など多岐にわたる資金調達方法を最適化し、かつ各事業に配分すること。

⑤人・組織論:企業とは人の集まりであり、どんな塊に分かれて、どんな役割を果たし、どんな責任権限を持つのかを決めること(組織論)。そしてそこに集う人々を採用、教育、評価し、モチベイトし続けること(人事論・リーダーシップ論)。

⑥オペレーション:商品・サービスの提供のために必要な機器やプロセス、仕組みを立案すること。

経営学とはひとつの学問ではなく、これら多岐にわたる研究分野の集合体なのです。このほかに経済学や、最近ではITやAIなどが含まれる場合もあります。それら一つひとつをしっかり習得しようとすれば、膨大な時間が必要になります。たとえビジネススクールに1年や2年通ったとしても、学べるのはほんのさわりの部分だけ。そのため、学び方が広く浅くなってしまい、学んだツールや手法を仕事でなかなか使いこなせない、あるいは誤用してしまうのです。

こうした状況を打開するために、経営学の「学び方」を変えていく必要があります。ポイントは2つです。

事業レベルか? 全社レベルか?

経営学を学ぶ理由としてよく挙げられるのが「経営者の視点を持つ」ことですが、その経営視点には2つのレベルがあります。事業レベルと全社レベルです。事業部長やベンチャーのように1つの事業だけを担うレベルと、本社機能の中で複数事業を束ねるレベルでは、当然求められる業務やスキルは異なります。

ところが、経営学の各専門分野で教えている内容は、この2つのレベルが混在しています。例えば、ファイナンスは全社での資金調達や管理に関する内容なので、ほとんどが全社レベルの話。一方、マーケティングやオペレーションはほぼ事業レベルの話です。その他の専門分野も2つのレベルがまざっているため、学習者は混乱します。

そこでまずは、経営学の内容をこの2つのレベルごとに分類する。そうすれば、学ぶ目的に応じて項目を絞り込むことができます。日本人の場合は事業レベルの経営スキルを求めて経営学を学ぶ人が多いので、まずは事業レベルの項目だけを学べばいいのです。