そもそもオリンピックが都市単位で開催されるのは、古代オリンピックが都市国家間で競われたことに由来する。しかし近代オリンピックは、国家単位で競うのだから、「開催国」ベースのコンセプトに切り替えてもいいのではないか。そうすれば競技会場の選定なども含めてオペレーションが非常に楽になる。サッカーやラグビーのワールドカップのように競技を散らして最適地でやるようにすれば、国を挙げて盛り上がれるだろう。ちなみに2024年の「パリ五輪」ではサーフィン会場が南太平洋にあるフランス領タヒチに決まった。

また前述の通り、スポンサーファーストの開催条件も改革すべきポイントだろう。アスリートファーストというなら、夏季五輪は主催国のベストシーズンを選ぶようにしたほうがいい。あるいは時期をずらした分散開催という考え方もある。

スポンサーとの関係を見直す必要もあるだろう。スポンサーを抜本的に入れ替えて、たとえば既存メディアとは一線を画したグーグルやフェイスブック、ネットフリックスのようなグローバル企業にスポンサーになってもらう。中国のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)など新興企業も喜んでスポンサーになるだろう(アリババはすでにスポンサー)。

こうしたシリアスな改革提案を日本とJOCはしていくべきだと思う。東京オリンピック・パラリンピックが終われば、数え切れないくらいの反省点が浮かび上がってくるだろう。それらを総括して、五輪改革につなげる提言を準備すべきだ。東京で2度の夏季五輪を開催し、札幌や長野でも冬季五輪を開催した日本だからこそ言える立場でもある。今回の東京オリンピックの経験と反省を生かさなければ日本人、そして特に都民には、むなしさだけが残る。

2024年大会の開催誘致では住民投票の結果を受けてハンブルク(ドイツ)が撤退し、財政問題からローマとブダペスト(ハンガリー)が立候補を取り下げた。最終的にパリとロサンゼルスの一騎打ちになってパリに決まった。何の改革もせずに、競技数もコストも肥大化して開催国の負担が増すばかりでは、五輪開催の魅力は失われていく。

高校野球は春に一本化、ドーム球場活用

日本の夏の風物詩といえば高校野球甲子園大会である。ようやく球数制限の導入など選手ファーストの改革も動き出したようだが、私は夏の甲子園の存続自体を国民的な議論にしたらいいと思っている。私は基本的に2つの理由でやめるべきだと思う。