義母にも子どものことで責められてしまう

長女の時は、初めての育児で夜泣きに対してどう対応していいか分からず、夫も非協力的だったため、大変だった。どうしても寝ない時は、車に乗せてドライブした。

車内で寝ついた頃を見計らって家に戻り、静かに布団に置く。しかし背中が布団についた瞬間、また泣いてしまう。

それでも、慣れてくれば楽になる。2人目、3人目になってあやし方も分かってくると、気持ちに余裕ができた。ちなみに玲美さんは母乳が出ず、ずっとミルクだった。

育児に関しては、義母のサポートはあまりなかった。長女が生まれた初めの頃はあれこれアドバイスをしてくれたが、次第に「あなたのやり方が悪い」と文句を言われることが増えた。

義母は子どもに厳しく、「なんですぐ泣くの」と叱る。玲美さんが泣いている子どもを抱っこすると、「なんで抱っこするの?」と怒られる。まず子どもの気持ちを落ち着かせてから「どうしたの?」と聞くのが玲美さんのやり方なのだが、義母にはそれが通じない。

「なんで私のやり方でやらせてくれないの、と腹が立ちます」

仕方がないので、子どもが泣いた際は、義母の見ていないところに連れて行ってあやすしかない。ずっと義母に監視されているような状態なので、早く家を出たいと考えている。しかし、それは経済的に難しい……。

家族に黙ってデリヘルの仕事を始めた

地方都市では、玲美さんのように「義実家という名の牢獄」に閉じ込められている女性は決して少なくない。

三世代世帯には、ひとり親世帯に比べて安定したイメージがあるが、決して貧困に陥るリスクが低いわけではない。三世代世帯の子どもの貧困率は核家族世帯よりも高い、と主張する研究者もいる(阿部彩・鈴木大介『貧困を救えない国 日本』PHP新書)。

そうした中で、玲美さんは2年前から風俗の仕事を始めた。きっかけは、当時勤めていた保険会社で出会った女性からの紹介。彼女はS市内にあるぽっちゃり専門店のデリヘルで働いており、玲美さんの家庭の事情も知っていたので、「嫌かもしれないけど、稼ぎたいのであれば、こういう仕事があるよ」と勧められた。

「ちょっとでも稼げるんだったら……」と思い、いやいやながらデリヘルでの勤務を開始。知り合いの女性の働いている店の姉妹店である人妻・熟女デリヘルで働き始めた。30~50代の女性が在籍しており、料金は90分1万5000円。S市では安い価格帯に入る。

出勤は週5日、10時半から17時まで。夜は17~21時。働いている間、子どもは義父
母に見てもらっていた。

「休みの日があると、義父母から『なんで働かないんだ』と嫌味を言われるため、ほぼ毎日出勤していました。風俗で働いていることはもちろん告げずに、普通にレジの仕事で働いている、と伝えています」

この仕事で稼いで、ちょっとでも貯金したいと思ったが、子どもが3人いるとなかなか貯められない。