北朝鮮はアメリカから制裁解除を引き出そうと考えている
読売社説は北朝鮮の動きをこう分析する。
「北朝鮮は、非核化協議の期限を年末までとし、米国に新たな提案を行うよう執拗に求めている。今回の実験は、米国が要求に応じなければ、核兵器の開発を再開するという揺さぶりだろう」
「今月下旬には、朝鮮労働党の中央委員会総会が開かれる。過去にも対米政策などで重大な決定が下されており、注意が必要だ」
北朝鮮はアメリカから制裁解除を引き出そうと考えている。揺さぶりに左右されないよう、アメリカは北朝鮮情勢の正確な把握に努めなければいけない。
そして読売社説はトランプ氏をこう批判する。
「トランプ米大統領は以前、短距離ミサイルの発射を容認する発言を重ねていた。今月上旬に、『敵対的な行動に出れば、すべてを失いかねない』と、ようやく警告を発した。北朝鮮に対する認識の甘さを自覚すべきだ」
トランプ氏の対北朝鮮外交は、個人的な友好関係に依存している
トランプ氏が北朝鮮に対し、短距離ミサイルの発射を容認したのは、大陸間弾道ミサイルに気を取られ、潜水艦発射弾道ミサイルの開発が進んでいることを理解していなかったからだ。アメリカ本土近くまで潜水艦で侵入し、専用のミサイルで核攻撃する技術など、北朝鮮にはないと高を括っていたのである。
「トランプ氏の対北朝鮮外交は、金正恩朝鮮労働党委員長との個人的な友好関係に依存しており、あやうさがつきまとう。北朝鮮の完全な非核化を達成するには、粘り強い実務者協議が欠かせない」
「あやうさがつきまとう」と批判するところなど、読売社説もトランプ氏を信用していないのだ。
さらに読売社説は日本の安倍政権に対しても「ICBMに加え、日本を射程に入れる北朝鮮の中距離ミサイルも廃棄対象に含めるよう、日本は米国に働きかけねばなるまい」と要望する。当然のことである。