「襲撃は20秒から25秒の間に一斉に行われた」

アフガニスタン東部ナンガルハル州の州都ジャララバードで12月4日朝(現地時間)、四輪駆動車が銃撃された。人道支援に取り組んできた民間活動団体(NGO)「ペシャワール会」現地代表の日本人医師、中村哲さん(73)が乗っていた。中村さんは病院に運ばれたが、死亡していた。

中村さんらは2台の車に分乗しており、何者かに車を止められて銃殺された。現地の警察は中村さんを含む警備員や運転手ら計6人全員が死亡したと発表した。

9日のNHKの報道によると、この6人とは別の同行していた現地スタッフの男性1人が生存しており、「襲撃は20秒から25秒の間に一斉に行われた」と証言した。

写真=時事通信フォト
死亡した中村哲医師を出迎えるため福岡空港に集まったアフガニスタン人ら=2019年12月9日、福岡市博多区

タリバンとイスラム国、アフガン政府の3つ巴の紛争地帯

アフガンでは、旧支配勢力のタリバンのほか、タリバンと対立するイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の支部組織も頻繁にテロを起こし、これに政府軍が戦う3つ巴の紛争が起きている。政情は不安定で、治安も悪い。

いまのところ、中村さんらを襲った武装集団は特定されていない。タリバンの報道官は4日、ツイッターで関与を否定する声明を出している。一方、ISはこれまでにも外国人を狙って攻撃し、自らの存在を誇示してきた。

武装集団が現地でよく知られた中村さんを襲撃することで、勢力の拡大とアフガン政府への強い対抗意識を示した可能性がある。

タリバンだろうが、ISだろうが、アフガンの復興に力を注いできた中村さんを銃殺した犯行グループの罪は許されるものではない。