自分の支出パターンを知る
今から1カ月、毎日の出費をすべて記録してみよう。1円単位まで厳密に記録すること。
1カ月は長いと思うかもしれないが、携帯代、家賃、クレジットカードの支払いなど、決まった支払いはたいてい1カ月単位なので、短期の記録では大事な出費を見落としてしまう心配がある。1カ月以上続けてもいいが、面倒な作業なのでできる人だけでかまわない。
たとえ1カ月だけでも、自分の支出パターンがだいたい見えてくるはずだ。
親元で暮らす大学生なら、食費や住居費は親に出してもらえるが、自分のお金で払わなければならないものもある。映画、コンサート、ゲーム、パーティなどの娯楽費、友達と遊ぶときの外食費、友達への贈り物、ハロウィーンや学校のダンスパーティ用の衣装、化粧品、ガソリン代や交通費、電子機器やスマホのアプリなどだ。
その大学生が社会人になり、アパートを借りてルームメイトと一緒に住むことになったとしよう。親元で暮らしていたときに使っていた娯楽費、交際費、電子機器代は、これから10年ぐらいもずっと使うことになるだろう。しかも、大人バージョンでお金はさらにかかるようになる。
それに加えて、今度は奨学金の返済、家賃と水道光熱費、携帯代やインターネット代、食費、各種保険の支払い、車を持っているなら車関連の費用、部屋の家具、洋服、休暇の旅行や帰省などのお金もかかる。そしてもちろん、将来に備えて貯金もしなければならない。
「貯金」は支出に含めて考える
予算を立てるときは支出のほうに「貯金」と「緊急事態」というふたつの項目を入れたほうがいい。「貯金」がなぜ「支出」になるのかと不思議に思うかもしれないが、他の支出と同じように、必要なお金をあらかじめ割り当てておいたほうが無理なく貯めることができる。
このように貯金のお金を先取りする方法は、「pay yourself first(まず自分のためにお金を使う)」と表現されることもある。貯金は自分のためだということを思い出させてくれる言葉だ。貯金のお金は最初からないものと考えれば、使いたい誘惑に打ち勝つのも簡単になるだろう。多くの会社は、財形貯蓄など、給与天引きで貯金できる制度を社員のために用意している。
「緊急事態」は、毎月決まって出ていくお金ではなく、失業、けがや病気で働けなくなる、家族の病気や事故といった本当の緊急事態でかかるお金だ。この点について専門家にアドバイスを求めると、半年分の支出を緊急事態費として貯めておくという答えが返ってくることが多い。半年分もなんて貯められないと思う人がほとんどだろうが、少しずつでも貯めていけば、いつか必ず目標を達成できる。数年かかってしまってもかまわない。実際に緊急事態になったら、支出を減らすだけでは追いつかない。もしもの備えは絶対に必要だ。