沈黙を避けるには、質問力を磨け
とはいえ、黙ったままでは人間関係は築けない。自分から話すのが苦手なら、相手に話してもらえばいい。「発言を引き出すには質問することです」と谷原弁護士。
「質問の鉄則は、相手が答えるまで沈黙して待つこと。私たちは質問されると、答えを思考します。答えに少し時間がかかったからといって次の質問をしたり、話題を変えたりするのは質問の作法に反します」
いい質問で場の雰囲気をよくし、相手に好かれることもあれば、答えにくい質問が居心地の悪い沈黙を生むこともある。質問は相手が答えやすいこと、答えるのが嬉しそうなことを尋ねるのが基本。つい「どうして?」「なぜ?」と質問しがちだが、これには注意が必要だ。
「なぜ? という問いに対する答えは『~だからです』と論理的な組み立てが必要になります。頭のなかで文章を作らなければなりません。これは結構なストレスなのです」
なるほど、子どもに「なんで、なんで?」と質問責めにあったときのイライラはそういうわけだったのか。
20年以上の弁護士活動で無数の交渉を経験してきた谷原さんだが、交渉するときは質問が7割、自分の意見が3割くらいを心掛けているという。実感しているのは、「質問をして、相手の話を黙って聞いてから説得したほうがいい」ということ。まず相手の話を理解しようという姿勢でじっくりと聞き、「あなたが言いたいことはこうですか?」と確認する。で、確認が取れたら、「では、私の話を聞いてもらえますか」と切り出す。相手は自分の言いたいことは言ったので、この人の話を聞いてあげようという気持ちになるのだという。
最後に沈黙のトリセツを。沈黙は効果的に使うとコミュニケーションが円滑になる半面、機嫌が悪そう、気難しそう……といった誤解を生むリスクもある。だから、沈黙は笑顔とセットがよいと谷原弁護士。
「人間関係の基盤となるのは、好意と信頼です。これを得るには、まずあなたが相手に好意を持ち、相手を信頼すること。沈黙は誤解されるリスクもありますから、相手への配慮を忘れないことが大切です」
・相手に体を斜めにして対する
相手の話を批判的に聞いている印象を与える。
・体を揺らしながら聞く
貧乏ゆすりは癖でも、相手は会話に集中できない。
・腕を組む
腕を組む姿勢は拒絶を意味するので相手は話しにくい。
・踏ん反り返った姿勢
偉そうな態度に見られてしまう。
・目を合わせない
すぐに目をそらすのも相手を不快にさせる。
・スマホをいじる
話を聞いていない印象を与える。
・髪の毛を触る
相手を軽んじている、集中して聞いていない印象を与える。