先人も「みだりに改称致さぬやう」と釘を刺していた

今尾恵介『地名崩壊』(KADOKAWA)

もちろん造語を自分だけの世界で濫造するだけならいいのだが、この近現代の100年そこそこの間に歴史的地名を否定し、そこに流行に左右されるタイプの安普請な固有名詞を上書きし続けてきた罪は、住居表示法で全国の地名を潰して回った私の祖父母の世代を含めて実に重い。その点で「高輪ゲートウェイ」を拒否する、主として若い世代の反応は救いである。

明治新政府は、西南戦争からまだ数年しか経たない明治14(1881)年に太政官達第83号で、「各地に唱ふる字の儀はその地固有の名称にして往古より伝来のもの甚だ多く、土地争訟の審判、歴史の考証、地誌の編纂へんさん等には最も要用なるものに候条、みだりに改称・変更致さぬやう」と釘を刺している。

駅はたまたま会社の施設であるかもしれないが、関係住民などが永続的に利用する公共財の側面の方が大きい。目先の商売のためには勝手放題に決めてよろしいと考えている人に対して、先賢のこの言葉を贈りたい。通じるといいのだが……。

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