法改正を主導するのは福祉財源逼財に苦しむ財務省

実は、この法改正を主導してきたのは財務省です。やはり福祉財源の逼迫が背景にあることは明白です。財務省は利用者負担にすることのメリットもある、と次のような見解を発表しています。

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<これまで利用者はケアマネが作成したケアプランをそのまま受け入れる受け身の立場でしかなかった。が、料金を負担することによって利用者側に自覚が生まれ、ケアプランの内容をチェックし要望を出すことができるようになるだろう。それによって納得のいく介護サービスが受けられるようになる>

しかし、それについてIさんは「取ってつけた理由でしかありません」と批判します。お金を削りたい、というのが財務省の本心だというのです。

「現状でも利用者さんはケアマネに要望を出すことはできますし、我々はそれに応えることもあるんです。それに私たちケアマネは専門家としての知識や経験を生かして、それぞれの利用者さんに最適な自立支援のためのケアプランをつくっている。しかも、福祉財源にも利用者さんにも多大な負担にならないよう必要最小限のサービスを組む努力をしています」
「そこにもし、利用者さんの要望を受け入れるのが当然という流れができたら、どうなるか。利用者さんの都合でケアプランが変わることによって、かえって自立支援の前提が失われ、ただ単に利用者さんにとって快適なだけのサービスになってしまう可能性があるのです。また、そうなると介護保険適用限度ギリギリまでサービスを増やさざるを得なくなることもあり、結果的にコストがアップし、財源を圧迫することになる。本末転倒ですよ」

利用者が介護サービスを受けることを拒むようになるおそれあり

利用者のメリットとなるという財務省の見解はお門違い。介護の現場は混乱し、自立支援という大目標が損なわれるおそれがあるのです。さらに、もっとまずい事態になるのではないかとの声もあります。それは、利用者が介護サービスを受けることをやめるのではないか、という危惧です。

「説明したようにケアマネは介護生活の入口にいる案内役でもあります。その案内料を取るという話をすれば、“あなたには頼らず自力でなんとかする”という方が出てくるはずです」(Iさん)