好き勝手にやっている親の子はすくすく賢く成長する
以上、2つのケースを振り返ると、親が「親自身の人生を謳歌している」ということに気付かされます。共通しているのは、子供の人生とも人格とも、親が適当な距離を置いている。それがとても自然にできている。「適当な距離」というのは、親が期待する方向にねじ曲げずに、子供のあるがままの姿(成績も含めて)、彼らの人生をそのまま受け入れている、という関係性だと思います。
だから子供たちも、自分のしたいこと、目指す方向に、真っすぐ向かえたんだと思います。
子供たちに親のことを聞いても、「親は親で好き勝手にやっていますよ」と答える気がします。実の子供であっても、他人の人生ですから、自分の思う通りに行くわけがない。ままならない他人の人生に過干渉しているから、つらいんじゃないかと思います。
夫婦仲のよしあしと子供の偏差値との関係については、一概には言えません。ただ、ご夫婦の仲が良い家庭の子供は、情緒面ではとても落ち着いているのは確か。また、自己尊重感が高く、何でもやってみようという力にあふれていたように思います。
【以上、Tさんの話】
なぜ、今どきの親は「教育虐待」をしてしまうのか
いかがであろうか?
ここ数年「教育虐待」という言葉がメディアで飛び交っている。「教育熱心」な親は昔からいたが、今は「虐待」ともいえるほどに、子育てに「良かれ」と思い、教育に躍起になる親がたくさん存在している。
その理由の多くは、どの職業であれば一生安泰であるとは言い切れない「不確定要素」でいっぱいな未来予測の中で子育てを強いられているような時代背景があるからであろう。
しかし、その中で、わが子に幸せになってほしいと願うのであれば、まず、親は子とは別人格であると認識すること、そして勇気をもって子供とは適度な距離を保つこと、さらに、親自身の人生を充実させることのほうが案外、早道なのかもしれない。