初めから最善のプロセスは読めない

社内で退けられたアイデアのもう1つの救出場所に、ベンチャー・キャピタリストがある。ベンチャー・キャピタリストは新技術のビジネス・モデルを編み出すのがうまく、誕生間もない技術を、新市場でより効果的に実験することができるからだ。

この方法はアイデアを生み出した企業にいくつかの選択肢を与えてくれる。投資家としてその実験に参加することもできるし、顧客として、あるいはサプライヤーとして参加することもできる。

また、単に傍観者として関心を持ちながら眺めていることもできる。何らかの価値が生み出された場合、技術のライセンスを供与するなり、ベンチャー企業を買収するなりしてビジネスに参加することができる。

新しい技術を商品化する際、技術と市場の両面で不確実さを解消しようとすることは非常に難しい。最初から最善のコースを予測できるはずがないからだ。

どれほど周到な計画や調査をもってしても、ビジネスの結果を明らかにすることはできないし、測定などの誤りは避けられない。企業は失敗を無視するのではなく、あくまでそれに対処するしくみをつくるべきなのだ。そうすることで、失敗を逆手にとり、技術のきわめて価値の高い利用法を見つける可能性が高まるのだから。

イノベーションの歴史には、新製品や技術の最終的な利用法が、当初意図していた目的とはずいぶんかけ離れたものだったという例が山ほどある。だからこそ、企業はイノベーション・プロセスのフォールス・ネガティブを見抜き、それにうまく対処する必要があるのである。

(翻訳=ディプロマット)