57歳の母親は収入28万円のうち12万円を娘に提供

両親にはもうひとり子供がいる。30歳の長男で、こちらはすでに独立し、働いている。よって、東京郊外の自宅(70坪ほどの土地と、築38年の家屋)では母親ひとりで住んでいる。その生活費は、父親からの20万円程度の送金と、母親のパート収入約8万円の合計28万円で賄っている。

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今は何とか暮らせているが、この家庭には大きな問題がある。下表のように長女のひとり暮らしの生活費(親負担分)が11万~12万円程度かかっているため、家計は現在でもギリギリの状況だ。母がパートを辞めたり、父の仕事がうまくいかなくなったりしたら、その時点で家計収支は破綻する。

■親と別居する長女の家計収支データ
○収入
(障がい年金2級)月6万5000円
○貯蓄額 約10万円
○支出内訳
家賃 6万円(親が負担)
食費 3万~3万5000円(親が負担する分の食費)
電気・ガス・水道料金 2万円(親が負担)
通信費 2000円(本人負担)
趣味娯楽費 1万円(同上)
医療費 1万円(同上)
雑費 1万円(同上)

※本人負担分の上記の生活費計 3万2000円に加え、支出額が不明な本人購入分の食材費や洋服代が3万円あまりあり、貯金はほとんどできていない。

ひとり暮らしの娘が食材をすべて宅配便で受け取る事情

長女にも障がい年金の収入が月6万5000円あり、これに加え、前述したように親から、家賃・光熱水費・食費の名目で毎月11万~12万円の援助を受けている。月の総支出は18万円前後となる。

聞けば、過食症気味で、障がい年金の多くがお菓子やパンなどの購入費用に充てられている。お風呂に入っていないことから体臭が気になって外出はできず、食材はすべて宅配便での受け取りにしている。人と顔を合わせられないので、玄関に印鑑を貼り付けておき、宅配便の人が帰った後にドアを開けて受け取っているそうだ。