自宅が4000万~5000万円で売却できれば、マンション購入可能
自宅の土地が4000万~5000万円で売却できれば、新築のマンション購入も視野に入ってくる。長女の平均余命の長さを考えると、できるだけ新築物件にこだわりたいところだ。購入するマンション価格を2500万円くらいまでに抑えられれば、自宅の売却価格との差額は母娘の生活費の赤字分の補てんにも充てられる。
「新築のマンションであれば、角部屋を購入することも可能だと思います。隣の部屋の生活音を考えると、娘さんには角部屋のほうが適していますよね」とうかがうと、
「そうです。今の賃貸アパートを出たいといっているのも、他の住人の生活音に悩まされているからです。生活に余裕がないので、家に戻ることも提案したのですが、父親との生活のことがトラウマになっているらしく、それ(父を含めた家族3人での生活)は絶対に嫌だと拒否するんです」
そこで、こう提案しました。
「自宅売却して新築マンションを購入する場合、条件があります。娘さんには今、障がい年金という収入がありますから、そこから月に2万円ずつ天引きで積み立てられないでしょうか。これなら30年間で720万円以上貯まります。また2万円を貯金して、使えるお金を毎月4万5000円以内に抑える訓練をしておけば、お母様が亡くなられた後の生活費を抑える訓練にもなります。ひと月9万~10万円くらいの生活費で暮らすことを目指したいところですね」
月5万円の食費を3万円以内に抑え、月2万円貯蓄
「毎月2万円の貯蓄ですか……娘は今、手元にあるお金はほとんど使っているような状況なので、できるでしょうか」
「不可能ではないと思います。ただ、生活コストを下げるためには、料理を教えることも大切です。今の食費は月5万円以上ですが、これを3万円以内に収めたいですね。ご飯をまとめて炊いて冷凍するなど、主食のストック方法を教えてあげてください。キャベツや白菜のような使いまわしの効く食材でのレシピも、食費の抑制やメニュー数の増加に役立つと思います」
「ずっとご飯を作らせないままでしたが、娘ももうすぐ30歳になることを考えますと、ご飯を作れるように促していくのは親の義務なんですね。友達もいない娘をふびんに思い、できる限りのことをしてきましたが、ある意味、甘やかしている部分があったのだと思いました」
「甘やかしか、否かの判断は私にはできません。でも、親亡きあとはひとりでご飯を食べていかなければならない現実がありますから、生活コストを下げる努力は必須です。それにご飯のことも大切ですが、(現在母親ひとりで住む)自宅の名義人であるご主人様に売却の同意を取れるかが、マンション購入のカギになります。購入するマンションの名義を奥様や娘さんにすると、贈与税が発生する可能性がありますので、購入するマンションの名義もご主人様のものにするのが順当だと思われます。まだ時間はありますので、ご主人様と自宅の売却についてじっくりと話し合ってください。話し合う際は、ご主人様が帰国されたあとはどこに住むのかも確認してみてください。ご主人様が家の売却資金をアテにしていたら、話は振り出しに戻ってしまいますからね」
「わかりました。メールなどでのやり取りになりますが、少しずつ、主人と話し合っていきたいと思います」