「駅前の大型店」は消えても百貨店は消えない

郊外のショッピングモールに押されるかたちで「駅前の大型店」だった百貨店の居場所は小さくなってきた。地方、特に2番手以下の都市はなおさらだ。大型店のニーズはあったとしても、百貨店のニーズは難しかったと思われる。

「駅前の大型店」の居場所はネット通販の拡大とともに、おそらくこれからも小さくなっていく。そのような中、地方百貨店に復活劇があるとすれば、それは都市の生活文化の文脈とともに国内外の逸品を陳列する百貨店、地元の顔、地域一番店としての復活だ。これには地元の顔がゆえの目利き力を生かした地域商社の道が含まれる。タレントを見いだし、育成するプラットフォームとしての役割だ。逸品の作り手は、百貨店をきっかけにいずれ独自に路面店を出すほどに成長するだろう。その手前、ライフサイクルの早期こそ百貨店の主戦場だ。ブレーク前の逸品を、まだ知らない消費者に発信し影響を与える「アーリーアダプター」のような役回りである。

県単位、あるいは車のナンバーのようなエリア単位の経済圏の中心都市に、ライフスタイルを提案するショールーム的な旗艦店、その周辺に外商の営業拠点を残すというかたちもありえるだろう。経済圏があるところに百貨店のニーズはある。地元の百貨店の役割を再認識し工夫することで、地元に百貨店がひとつもない未来は避けられるのではないか。

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