地方百貨店が苦戦している。もう未来はないのか。大和エナジー・インフラの鈴木文彦氏は「百貨店の強みは目利き力にある。その力を生かす道はセレクトショップ化、地元の逸品を発信する『地域商社』化、そしてコト消費だ」という——。

地方百貨店の衰退に歯止めがかからない

画像提供=井上百貨店
長野県松本市にある井上百貨店の「城町はちみつ」から生まれたオリジナル商品の数々。左から松本みつばちプリン、城町シトロン、はちみつオレンジパウンドケーキ、星と蜂に願いを(ゼリー)、信州はちみつキャンディ、松本蜜ぼんBon(赤いムース)、開菓~蜂蜜柚子~

日本百貨店協会によれば2019年9月の店舗数は212と、20年前の約7割まで落ち込んだ。新聞報道等から閉店数の推移を調べると2000年初頭、2010年に続く3度目の閉店ラッシュとなっている。今年は閉店する店舗が10を超える見通しだ。

日本百貨店協会のデータから店舗数の前年比の推移をみると10店舗減少した年が2001年、2010年の2度あった。2019年は3度目になる可能性がある。今年は1月の棒二森屋(北海道函館市)の閉店ではじまった。8月は高岡大和(富山県高岡市)、ヤナゲン(岐阜県大垣市)、大沼米沢店(山形県米沢市)と、地方それも県庁所在地に次ぐ2番手都市での閉店が目立った。

画像=大和エナジー・インフラ
一般社団法人日本百貨店協会「売上高速報」から大和エナジー・インフラ作成