水素燃料市場が拡大する3つの分岐点
富士経済は2019年8月9日、水素燃料関連の国内市場に関する調査結果を発表した。2018年度の市場規模は73億円だが、今後一気に拡大し、30年度に4,085億円に達するとしている。水素燃料関連市場は、燃料そのものを指す“水素燃料”、輸送設備や輸送用高圧容器を対象とする“水素輸送”、水素ステーションなどを対象とする“水素供給”、水素発電と車載関連機器を対象とする“水素利用”からなる。
水素市場の成長を牽引する要因の1つが、トヨタが20年末頃の発売を予定している燃料電池自動車(以下FCV)「MIRAI」の新型だ。富士経済大阪マーケティング本部の渡邉啓太氏は「デザイン、内部設計なども刷新され、FCV普及に向けた量産型の初期モデルという位置付けになります。燃料電池システムの主要部品は量産性が低いことが課題ですが、その点を改善するための技術が盛り込まれる」と説明する。
30年までには、大型水素発電システムの実用化も期待できそうだ。渡邉氏は「水素の大量輸送技術の実証実験が20年から、主要な発電方法になる水素ガスタービンを利用した実証実験が25年頃に計画されています。それらのステップが確立されたとき、市場の加速度的な拡大がみられるでしょう」と語っている。
(図版作成=大橋昭一)