「俺はツイてない」社会や人のせいにする人は思考停止しがち
考えることを放棄した73歳と22歳の被告人の話から、心から反省したり後悔したりしている様子はうかがえなかった。拘置所の中で自己と向き合い、どうすれば犯罪と無縁に過ごせるか真剣に考えた感じがまったくしない。被告人質問の答えもおざなりで、なんだか考えることが面倒くさくて仕方がない人たちのようにも見えた。
たとえいま、仕事や家庭に恵まれているとしても、われわれが立っている場所の地盤はそれほど固くはない。犯罪者になるケースはまれだとしても、なにかの拍子でバランスを崩したとき、想像力を働かすことのできない人は対応が遅れ、次善の策が打てず、悪い流れに飲み込まれてしまいがちなのかな、と思う。
“何も考えない”でいると、本当にシビアな状況に陥ったとき、目先のことに気を奪われ大局観を失いやすい。「運がいい」とか「ツイてない」とか、物事を流れのせいにして片付けがちな僕も偉そうなことを言える人間ではない。考えることが面倒なときこそよく考えよ。自戒を込めてそう思う。