「サービス労働」の生産性を問う

林 總『ドラッカーと生産性の話をしよう』(KADOKAWA)

「テクノロジスト」は知識労働者でありながら知識労働と肉体労働を同時におこなう労働のことです。彼らは、自らの専門的知識を自らの専門技能に生かして仕事を進める労働者で、具体的には、医師、理学療法士、歯科医師、看護師、弁護士、公認会計士、税理士など専門的知識を活かして働く人たちです。

そして、ホワイトカラーの相当部分を占めるのが「サービス労働」です。サービス労働者は知識労働者ではあるけれど、純粋な知識労働者やテクノロジストと比べて知識労働の割合が少ないのが大きく異なる点です。

日本企業のホワイトカラーの生産性の低さは、実は「サービス労働」の生産性の低さに由来します。

ドラッカーが突いた生産性の本質

働き方改革を進める場合、最初に「テクノロジスト」と「サービス労働」の生産性の向上の処方箋を考えるです。ところが、情報技術が高度に発達し、広い分野をAIが席巻しようとしている現在、わたしたちは相変わらず19世紀の「肉体労働生産性向上」の発想から抜けきれず、「自分の仕事は10年後にAIにとって代わられる」と怯えているのです。

私たちの心配事であるAIとの戦いに勝つには、一人一人が知識労働の生産性をよく理解し、しっかりと知識を磨く以外ありません。ドラッカーは20世紀において、問題が噴出し続けている知識労働生産性の本質を突いていたのです。

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