脳のコンディションが悪いと、欲望のコントロールが利かない

私は、この2人に次のようなアドバイスした。

「おそらく、あなたはご心配になるような性依存症のようなものではありません。ただ、人間というものは、過労やストレス、アルコールなどの影響で、欲望のコントロールがおかしくなることがあります。あなたの欲望そのものは、誰にもある類のもので、異常と悩むことはありません。しかし、ストレスや寝不足で、行動に移してしまったということは、ストレスや寝不足に弱いタイプなのかもしれません。それを肝に銘じて、なるべく、ストレスをため込まないようにし、過労を避けるようにしてください。あと、アルコールを飲まれるときも、外でなく、家族とご一緒のときがいいと思います」

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要するに、脳のコンディションが悪いと、欲望のコントロールが利かなくなることがあるので脳を含めた体調維持の重要性を伝えたわけだ。

私は今回、自分のクリニックに駆け込んできた2人を「病的な人間の異常な行動」だとは考えていない。人間の理性は意外にもろく、脳の誤作動でまともに働かなくなることはしばしば起きるからだ。

事件を起こして社会的な信用を失う前にするべきこと

働き方改革などが叫ばれているが、過労や寝不足、仕事のストレス、人間関係のトラブルにより、うつ病などの心の病になるだけでなく、このような形で理性のタガが外れることもある。

最近はようやく過労問題やうつ病などに対する社会的な認識も高かったので、職場の理解を得ることが以前ほどは難しくなくなっているだろう。

しかしながら、ストレスや飲酒などにより脳のコンディションが悪い状態で、「事件」を起こしてしまった場合、社会的信用を失い、解雇の理由になりかねない。

この手の「事件」でなくても、脳のコンディションが悪いために、普段は温厚な人間が暴言を吐いたり、暴力をふるったりするために、一気にパワハラのレッテルを貼られてしまうこともある。昨今しばしば問題になるあおり運転も、普段は温厚なのに、たまたま脳のコンディションが悪い時にやってしまった人もいるかもしれない。

昔と違い、酒の席だからとか、虫の居所が悪かったからとかいう理由で水に流される時代ではない。スマホで写真や音声などの証拠が残され、場合によってはそれが瞬く間に拡散されることもある。

・自分で過労と感じたら休む。
・十分な睡眠をとる。
・人間関係などストレスがひどいと感じたら、誰かに相談する。
・会社で受けさせられるストレスチェックのテストで高い点になっているようなら、医務室その他できちんと相談を受ける。

これらのことを心がけることで、自分の社会人経験=人生の危機を遠ざけることができるのだ。

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