「やったらまずい」と思っていても性犯罪する人は心の病

依存症というと、本欄でも以前、アルコール依存やギャンブル依存症が賢い人をバカにするものとして紹介したことがある。

また、最近では、万引きが犯罪とわかりつつもやめられない心の病「クレプトマニア」がある種の依存症として注目されている。この病は、女性に多いとされているが、社会的地位の高い人にもいて、賢い人をバカにするものと言えないことはない。

一方、痴漢や盗撮についても、知的な文化人が捕まることもあり、やはり、「頭はいいのに性癖が」と叩かれることになる。痴漢や盗撮のケースでは「やったらまずい」と頭ではわかっているのにやめられないとしたら、やはり依存症の症状に近いものを私は感じる。

写真=iStock.com/joyt
※写真はイメージです

日本の場合、性犯罪者について処罰感情が先立つことが多い。だが、症状の程度にもよるが、性犯罪はカウンセリングを行わなければ治らない心の病であり、カウンセリングなどの対策を行わないと再犯を繰り返してしまうリスクも高い。

依存症というのは意志が壊される病気だ。「●●しないようにしよう」という意志の力でなんとか対処しようとしてもいかんともしがたいところがある。

脳のソフトが故障しているのだ

心の病には、依存症のほかにもいくつもある。

例えば、その行為が不合理だと思っていても、それをやらないと不安や不快感のテンションが高すぎて、結局、その行為をやめられない・とまらないという強迫神経症である。

また、鍵が閉まっているか心配になって、何百回、ひどい場合は何千回も鍵の確認に行く確認強迫や、ばい菌が除去されたか気になって何時間も手を洗い続ける手洗い強迫という病気もある。

前出のクレプトマニアについては、依存症というより、欲しいものを見ると、タダでそれを盗らないと気が済まない強迫神経症の一種だという考え方もある。

このクレプトマニアの人にしても、痴漢がやめられない人にしても、それが確信犯的な娯楽になっている(それはそれで病的だが)のでなく、したくないのにしてしまう状態だとしたら、やはり依存症、あるいは強迫神経症といっていいかもしれない。

要するに、脳のソフトが故障しているのだ。カウンセリング治療をしても治るとは限らないが、治療をしないと治る見込みはきわめて低い。