結婚にお金が絡むからこそ婚前契約書が大事
日本人のシニア男性と結婚しようと考える外国人女性は、基本的に経済的な安定を求めていると考えてよさそうだ。また、親孝行が目的の場合も少なくない。そのため結婚の条件として、「これだけの額の結納金がほしい」、あるいは「月にいくら実家への仕送りをしたい」と、具体的に金銭面での要求を提示する女性が多い。
こうしたお金にまつわる事案は、口約束ですませるとトラブルの元になる。そこで推奨されているのが、婚前契約書の作成だ。
たとえば毎月の送金額や月々のお小遣いの額、年に一度は里帰りを認めその費用はすべて夫が負担するといった金銭的なことはもちろん、家事の範囲など、できるだけ細かく決めておくことが勧められる。お互いに文化的背景が違うため、片方にとってあたりまえのことが、相手にとってはあたりまえではない場合もある。だからこそ事細かく明文化しておくことが、トラブル回避につながる。
「人身売買じゃあるまいし」と言うが……
実際に数組の国際結婚の婚前契約書づくりを担当したスタートライン行政書士事務所の横倉肇さんによると、よくある内容は次の通りだという。
「男性側からの要望は、子づくりに協力すること。家庭をきちんと守ること。年齢差があるので、病気になったり介護が必要になったりしたらそれを担うこと、といった内容が多いですね。女性側からは、生活費とは別にお小遣いが月にいくら。万が一離婚になった場合、ビザがなくなるし生活ができなくもなるので、永住権が取れるまでは法的には離婚しない。あるいは、離婚した後も一定の金銭的援助をする、といった内容もよくあります」
なかには、婚前契約書を作成するのをいやがる男性もいる。「契約」という言葉に過剰反応してしまうのか、「人身売買じゃあるまいし」というのが言い分だ。それは裏返せば、結婚そのものに若干のやましさを感じている、ということかもしれない。どう取り繕おうが、経済的な優位性を利用して若い外国人女性を嫁に迎えることには変わりはない。そのため男性側にも、なんとも微妙な感情があるのだろう。