妊娠出産には女性の年齢が大きく関係していると思われがち。けれど近年国内の様々な統計データからは、男性の結婚年齢と出生率の関係性が非常に強いことがわかっています。男性は婚期が遅れても子どもを持てると考えるのは大間違いなのです――。

※本稿は天野馨南子『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)を再編集したものです

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Nayomiee)

母親はなぜ息子の婚期を遅く希望するのか

男性の結婚への取り組みが女性より遅れる原因について、「男性の年齢と結婚できるかどうかは、女性ほどは強く関係しないはずだ」という、統計的には誤った一般的な思い込みがあります。

データからは、「子どもより親のほうが、子どもと長く暮らしたがる傾向にある」「とくに母親の、息子に対する結婚希望年齢が遅い」という状況が浮かび上がります。

この母親が持つ意識の問題について、その原因を考えてみたいと思います。

なぜ、母親は息子の婚期を娘に対してよりも遅く希望する傾向にあるのでしょうか。そこには、「孫の顔は見たいけれど、うちの子は男だから、多少結婚が遅れても若い女性と結婚さえすればいいのよ。そうすれば孫は授かれるから」という発想があるように思います。実際に、結婚支援をしている支援側の年配女性の口からさえも、こういう発想からくる発言が平然と語られることがあります。