福山雅治の“年の差婚”は「統計的異常値」
統計的に見ると、いくら男性側が、「僕はもう40代だけど、精子は毎日つくられていてフレッシュだから大丈夫。だから、子どもが欲しい20代の女性たちよ、安心して結婚してください」とアピールしたところであまり意味がないのです。それよりも成婚するために大切な考え方は、自分自身の年齢が相手女性と同じくらいであるか、ということであるとデータは示しています。
それこそ、女性=「赤ちゃん製造機」ではありませんので、精子と結婚するわけではありません。結婚相手となる男性の持つ、夫婦生活力、子育て力を含めた体力・気力・疾病の保有・介護の可能性、時代感覚……「産ませるガソリン」たる精子としてではなく、総合的な人間として判断されているからこその当然の結果ともいえるかもしれません。
「子どもが欲しい!」「若い女性が大好き!」――。結婚に向けた活動目的がどちらであっても構いませんが、「若い女性に結婚相手として選ばれる」ためには、男性もできる限り若いうちに活動しなければならない、ということになります。0.89もの強い相関があるマッチング現象における例外カップルになるためには、いい意味で、自らが「統計的異常値」を示す存在でなくてはなりません。
たとえば、初婚男性の年の差婚の成功事例で言うならば、福山雅治さんです。彼ほどに、(主観ではなく)客観的にルックスが良く、声も人気があり、さらに突出した経済力もあるなど、女性受けのいいたくさんのアピール力を持っているなどです(このように書いてみると、改めて福山雅治さんがいかに「統計的異常値」を示す存在であるか、ということがよくわかります)。
息子の婚期を男だからと遅く考えがちな母親は、とくにこの統計的な事実を重く受け止めてほしいと思います。「息子はいずれ若い女性と結婚して、子どもを授かることができる」そんな“ガチャポン孫感覚”があるのであれば、すぐにその考えを改めることによって、息子の結婚や孫を持つ夢がむしろ叶いやすくなると指摘したいと思います。
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東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、1999年から同社シンクタンクに出向。1児の母。専門分野は人口動態に関する諸問題(特に少子化対策・少子化に関する社会の諸問題)。内閣府少子化関連有識者委員、地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・人口動態・女性活躍・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。