遠慮して100グラムのスライス肉を購入

先ほど紹介したスリランカ人の女性は、妊娠中、食生活に関する悩みをスタッフに相談してきた。夫はクローン病のせいもあって動物性たんぱく質を控えているし、そもそも食事には興味がなく、一日中パソコンを見ては株式投資に熱中している。お金に関してはシビアで、レシートも細かくチェックする。

スリランカではスライスした肉は売っておらず、通常、塊で買う。そういう文化的背景のある彼女としてはかなり遠慮して、スライスした肉を100グラム程度買ってきたところ、夫から『3日にわけて食べなさい』と言われたという。担当結婚相談所のスタッフは家まで行き、夫に「妊娠中はしっかり栄養を摂る必要があるし、ストレスをかけないよう、食事に関しては彼女の好きなようにさせたほうがいいですよ」とアドバイスした。

「一番危ないのは、来日して3カ月目くらいです。言葉も通じないし、友達もおらず、ホームシックになるんですね。そこを乗り越えて1年たつと、日常的な日本語を覚えるし、夫婦2人で通じる言葉もできてきます。言葉と地理を覚えると、たいていの女性は、日本が居心地よくなるようです」と萩森さんは言う。

日本人との婚活で失敗した人は“勘違い男性”が多い

ブライダルアライアンスの理事・増田朱美さんは、「それまで日本人を相手に婚活をしてうまくいかなかった男性は、勘違いしている人も多いですね」と、なかなか手厳しい。

「『やっぱり日本人でないと言葉も気持ちも通じない』とおっしゃる方もいます。そういう方に、『じゃあ今まで婚活していた十数年間、日本人の女性と気持ちが通じていたんですか?』と聞き返すと、黙ってしまわれます。

相手を理解しようという気持ちがなければ、たとえ日本人どうしでも難しい。ましてや海外の方と結婚する場合は、お互いに文化が違うわけですから、相手をわかろうとする気持ちが大事なのではないでしょうか」