高齢になるほど減る「子育て費」

一方、高齢者世帯では「教育費」への支出が圧倒的に少なく、世帯主が60~69歳の世帯で平均に対して0.16倍、世帯主が70歳以上の世帯で平均に対して0.04倍しか支出していないことがわかる。60歳前後には子育てを終え、授業料などを中心に教育費が大きく減る姿が見て取れる。

これを金額で見ても、高齢者世帯の教育費支出は世帯主が60代世帯で月1866円、世帯主が70代以降世代に至っては月482円となっており、平均世帯の1万1785円よりも月1万1000円以上も支出が少なくなっている。

なお、高齢者世帯の「その他の消費支出」も金額的にはかなり減るが、内訳を見ると「仕送り金」が最大の減少要因となっているため、こちらも幅広い意味で子供にかかる負担が減ることを示していることがわかる。

世帯主65歳以上世帯の平均世帯に対する費目別支出増減ベスト5

金額では「教育費」以上に減る「交通・通信費」

また、「交通・通信費」も特に世帯主が70代以上の世帯で平均に対して0.62倍と少なくなっている。これを金額で見ると、高齢者世帯の交通通信費支出は世帯主が60代世帯で月4万3674円と平均の4万2107円を上回っているが、世帯主が70代以降世代に至っては月2万5919円となっており、平均よりも月1万6000円以上も支出が少なくなっていることがわかる。

そして内訳を見ると、特に「自動車関係費」や「通信費」が大きく減っており、運転免許を返納して自動車を手放すシニアが増えるといった年齢的な要因と、そもそも携帯電話やネットの利用が若年世代に比べて少ないシニアの世代的な要因が混在していることが背景にあることが推察される。

さらに10大費目の中で、特に世帯主が70代以上の高齢者世帯の支出額が平均より月4000円以上減るのが、「食料」「被服及び履物」「教養娯楽」となる。そして、それぞれの支出減のけん引役となっているのが、「外食」や「洋服」「教養娯楽サービス」となっており、主に外出を伴う負担が減る要因が大きいことがわかる。