寮では一緒に生活していて、監督の私用にも使われる

他の保護者も、高校になって剣道が嫌になる生徒が多いと話す。

「保護者として頭にくるのは、親元を離れて中学から寮に入って稽古に励んでいるのに、高校になると嫌になって卒業していく生徒が多いのが、いまの国士舘高校剣道部です。寮では監督も一緒に生活していて、監督の私用にも使われ、休まる時間もないと聞いています。監督を退任させるかどうかに子どもの一生がかかっていると思っています」

全日本剣道連盟は去年、居合道の称号段位審査をめぐる金銭授受の慣行が明らかになったことや、他のスポーツ団体でハラスメントなどの問題が起きていることなどを受け、11月に「倫理に関するガイドライン」を制定した。

その内容は、身体的・精神的暴力行為や、セクシャルハラスメント、薬物の乱用などを禁止するものだ。特に、指導者に対しては「選手、剣道を学ぶもの等への指導の際、暴力、パワー・ハラスメント行為と受け取られるような行いには十分留意すること」を求めている。

学校側「ハラスメントの事実はなく、受け止め方の相違」

筆者は、Aさんの書いた記録を読み、複数の保護者に取材したうえで、国士舘高校にAさんへのハラスメントについて質問した。ところが、学校側の回答は「ハラスメントの事実はなく、受け止め方の相違」というもの。剣道連盟のガイドラインを理解しているとは思えない。

「本件に関し本校として、剣道部員へのアンケート調査および指導者への聴取を行いましたが、ご質問のようなハラスメントについての事実はありませんでした。

ただし、進路について指導者の言動と部員の受け止め方に相違があり部員に対する言葉のかけ方や指導方法が適切でなかったと判断し、本校は指導者に対し、2019年12月まで謹慎としました。なお、本校の進路指導において、本学武道学科への進学を強制すること、それを容認することは一切ありません。

今回、指導者の言動と部員の受け止め方に相違が認められたことは、本校として教育・指導のあり方を根本的に見直し、改善を図っていかなければならないことと受け止めています」(学校法人国士舘 理事長室広報課)

この回答は、加害者である国士舘高校が「受け止め方の相違」をもちだして、ハラスメントを否定するものだ。保護者への説明会では、ハラスメントや体罰を認めていたにも関わらず、対外的には「事実はありませんでした」と回答するのは、誠実な態度だろうか。

Aさんの父親は7月、「国士舘キャンパス・ハラスメント防止対策委員会」に再調査を申し立てたが、委員会は7月末に「再調査や再審査をしない」との結論を出した。保護者は現在、警察に被害届を提出することも検討している。

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