親がすべきは「子どもを英語嫌いにさせないこと」

撮影=原 貴彦
立教大学名誉教授の鳥飼玖美子氏(左)とイーオン社長の三宅義和氏(右)

【三宅】先生は中高の英語も学校の授業だけではマスターできないと主張されていらっしゃいますからね。

【鳥飼】はい。そもそも外国語を習得するのには生涯にわたる学びが必要です。外国語学習は、異質な言語文化を学ぶことになり簡単ではないので、時間が圧倒的に少ない学校教育には限界があります。実際に仕事などで使って、自分で試行錯誤をしないと身につきません。

だから学校で行う英語教育は基礎を学ぶためのものであると最初からわりきったらいいと思うのです。子どもに対して、できもしないことを要求してはいけないと思います。こと小学生の英語に関しては、極端な話、「まったくできなくても気にしなくていい」くらいにゆったり構えて、とにかく子どもたちに無理をさせないことが大事だと思います。

【三宅】では親御さんに対するアドバイスとしても、無理をさせないことですか?

三宅 義和『対談(3)!英語は世界を広げる』(プレジデント社)

【鳥飼】はい。「子どもを英語嫌いにしないでください」と。それに尽きます。そのためには無用な圧力をかけないこと。「もう1回言ってごらんなさい」「繰り返してごらんなさい」「そうじゃないでしょう」「何回言ったらわかるの」「何、この点数は」とか、こういうことは一切言わないほうがいいです。教科になると成績がつきます。授業で十分にプレッシャーはかかってしまうので、親まで厳しく指導してしまうと、子どもは逃げ道がなくなります。

外国語は生涯をかけて学んでいくものですから、小学校の段階で英語に苦手意識を持ってしまうのはあまりにかわいそうです。ご家庭では、子どもが「英語って面白いな」と思うような環境をできるだけつくっていただきたいなと思いますね。

(構成=郷 和貴)
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