前会長は贈賄の疑いでフランス司法当局の捜査対象に

JOCの竹田恒和・前会長には東京五輪招致を巡って贈賄の疑いがあり、フランス司法当局の捜査対象となった。その結果、今年3月、竹田氏は20年近く在任してきた会長職を任期満了となる6月末で退任すると表明。さらに国際オリンピック委員会(IOC)の委員も退任した。

沙鴎一歩は今年1月19日付の記事「JOC竹田会長“贈賄疑惑”は仏の報復なのか」で竹田氏の疑惑を取り上げている。書き出しは「わずか7分の記者会見には唖然あぜんとさせられた」で、「記者会見を開いた竹田氏は、不正を全面否定する文書を読み上げただけで、そのまま会場から姿を消してしまった。文書は竹田氏の一方的な言い分だった」と批判した。

根底にJOCという組織の閉鎖的体質がある

さらに記事では「たった7分で会見を打ち切るのは非常識だ。捜査中だから対応できないというのは逃げの常套句だ。なぜ、きちんと説明責任を果たそうとしないのか」と書き、「『旧皇族で明治天皇のひ孫』という血筋に甘えたのか。竹田氏は甘すぎる」とも指摘した。

この記事を書いた時点では、わずか7分の記者会見で逃げ切ろうとするのは、竹田氏の個人的な性格によるものだと考えていた。

ところが今回の理事会の完全非公開の決定は、個人ではなく組織の問題に根を張っている。根底にJOCという組織の閉鎖的体質があるような気がしてならない。

山下康裕会長は記者会見で理事会の透明性の確保を約束し、完全非公開の代わりに「理事会の終了後に専務理事が報道陣に対応し、資料の配付、定期的な記者との懇談会、議事概要を明らかにすることで対応したい」と述べた。

山下会長は、苦心惨憺さんたんしながら技を磨き上げ、日本柔道に金メダル(1984年ロサンゼルス五輪)をもたらした人物だ。血筋に甘える竹田氏とは違う。しかし30年間にわたって公開してきた理事会を「非公開でないと本音で話せない」と完全非公開にすることには、やはり納得できない。