「マスコミの前では話せないことが多い」と山下会長
日本オリンピック委員会(JOC)が、これまで原則公開してきた理事会を、9月から完全非公開にすることを決めた。
8月8日の臨時理事会のあと、記者会見した山下泰裕会長は「マスコミの前では話せないことが多く、理事会の議論が低調になる。理事会を非公開にして表に出せない情報も共有し、本音で話し合ってスポーツ界の発展のために役割を果たしたい」などと説明した。
「非公開でないと、本音で話せない」との時代錯誤
JOCは公共性の強い公益財団法人である。2018年度の決算概要によると、経常収益の44.5%(約69億円)は国などからの補助金だ。多額の税金が投じられており、国民のための団体だ。そうした団体の理事会が「非公開でないと、本音で話せない」というのは明らかにおかしい。国民に対しての説明責任をどう考えているのだろうか。
JOCと同じ公益財団法人の日本スポーツ協会(元・日本体育協会)は、理事会を公開しており、その主張には説得力がない。
7月にJOCが非公開の方針を明らかにしたことに対し、報道各社でつくるJOC記者会は「時代の動きに逆行する。高い公共性を備えるJOCの理事会を公開しないのは、国民の理解が得られない」との抗議文を出し、非公開の撤廃を求めていた。これは当然の行為である。