人を動かすための「具体化」にはコツがあります。目的を達成してもらうために「次の一歩」を明確に示すことです。つまり、「意味」を分解してあげて、相手がすぐに行動に移せる内容に落とし込むことです。ビジネスの現場では、指示を出すときに、ゴールを明確にし、そこに到達するためのプロセスを具体的に示すことが大切です。

具体化してコミュニケーション力を付ける7つのポイント

(1)「本当?」「なぜ?」「それから?」で具体化する
  (2)漠然とした話で納得してはいけない
  (3)必ず例え話をする
  (4) 自分がイメージしていることを再現しながら話す
  (5)話したことを文章にしてみる
  (6)相手に繰り返してもらう
  (7)数字は究極の「具体化」である

ここでは、(1)と(7)について、少しかみ砕いてご説明します。(2)~(6)については、私の新著>>『「超具体化」コミュニケーション実践講座』に"具体的に"書きましたので、そちらをご覧下さい。

「本当?」「なぜ?」「それから?」で具体化する

具体化のための第一のポイントは、「本当?」「なぜ?」「それから?」で具体化するというものです。これは、私が普段物事を考えたりするときや会議のときによく使っています。

会議などで、ある人が何かを発言したときに、「本当?」と聞きます。次に、それに対する返事に対して「なぜ?」と聞きます。それに対して返事が来たら、そこで終わりにせず、「それから?」と聞くのです。そして、また回答が来たら、それに対して「本当?」「なぜ?」「それから?」……と繰り返します。これを繰り返すことで、自分も相手も論理的思考力が高まっていきます。

たとえば、会議で「ある商品がすごく売れている」という話が出たとすると、こんなふうに話をすすめます。

――本当?
「はい」
――なぜ?
「あるタレントが使っていると雑誌で紹介されて、口コミで広がったからです」
――それから?
「同じターゲット層を対象にしたわが社の○○も、このタレント経由で売り出せば、ヒットするのではないでしょうか」
――本当?
「可能性は大いにあると思います」
――なぜ?

これを繰り返していくのです。

場合によっては、「具体的には?」という質問もはさみます。会話や会議でそれができるようになったら、自分自身が物事を考える際にも、「本当?」「なぜ?」「それから?」と問いかけてください。これは、プレゼンをするときや人前で話すときなどでも、とても役立ちます。

次回はポイント(7)「数字は究極の具体化である」についてお話しします。

※この連載では、プレジデント社の新刊『「超具体化」コミュニケーション実践講座』(2月20日発売)のエッセンスを<全7回>でお届けします。

(撮影=小倉和徳)