混乱が続く「表現の不自由展」中止問題。当事者の証言で展示会実行委員会による「独走」を止められなかったという事情が明らかになりつつあるが、適切にマネジメントできなかった事業運営者側の責任は重い。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(8月20日配信)から抜粋記事をお届けします。
写真=時事通信フォト
中止が決まった国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展の一つ「表現の不自由展・その後」=2019年8月3日、名古屋市東区の愛知芸術文化センター

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もし大阪万博に全裸パフォーマンスが登場したら?

大阪では2025年に大阪万博が開催されるが、吉村洋文大阪府知事や松井一郎大阪市長は、「医療技術」を中心とした万博にしたいという方針を持っている。

そのような方針が万博方針として確定した場合、パビリオン等を出展するある参加者が、男女の性をテーマにするとして、公然わいせつにならない範囲で全裸の男女が様々なパフォーマンスを行う催しをしようとした場合、どうすべきか。

吉村さん、松井さん、そして万博実行委員会は、当然中止を要請するだろう。そのときに、全裸パフォーマンスの出展者が表現の自由を守れ! と言ってきたらどうするか?

「おいおい、これは万博の事業なんだから、その事業方針に沿う出展を行うのは当然のことであり、表現の自由などを持ち出す領域ではないだろ!」となるはずだ。

ところが、これが「芸術」という分野になると、急に「表現の自由」というものが錦の御旗になって、表現の自由を守ることが絶対的な使命だという錯覚に陥ってしまう。