東大生には、本の内容を覚えるのが得意だという人がたくさんいます。それは読んだ本の感想を言い合う文化が定着しているからです。本の感想を伝えるサークルも、いくつもあります。読みっぱなしのインプットだけではしばらく経つと内容を忘れてしまいますが、相手に伝えるというアウトプットがあるから、記憶に定着する。アウトプット重視は裏付けのある勉強法だったのです。

インプットは「陸上で泳ぐ練習」

赤シートで頭に入らない場合、自分で問題を作成してみます。試験では出題者の意図を考えることが大切ですが、この世で一番厄介な出題者は、自分の弱点を知っている人、つまり自分です。そこで、出題されたら嫌だなという問題をあえて自分で作成するのです。

よく取り組んだのは、タイムカプセル方式の20問テストです。自分でテストをつくった後、いったん寝かせて、2日間その勉強をします。そして3日目にテストに挑戦して、また繰り返す。このやり方の利点は、先に問題がわかっていること。アウトプットを意識しながらインプットするので、暗記の効率が上がります。

たとえるなら、インプットは陸の上で泳ぎの練習をするようなものです。仮に完璧なフォームを覚えられたとしても、水の中に入れば同じフォームで泳げるとはかぎりません。それならば早い段階で水の中に入って、犬かきでもいいから泳いでみたほうがいい。それからフォームを覚えたほうが、早く泳げるようになります。

心理学の研究によると、勉強効率を最大限に高めるインプットとアウトプットの黄金比は3対7だそうです。アウトプットの7をやるから、インプットの3のクオリティーも高まるというイメージです。