不登校やひきこもりの子供をもつ親は、「ゲーム・スマホ依存を何とかしたい」と考えがちだ。だがそうした家庭の支援を30年以上続けている杉浦孝宣氏は「ゲームやスマホを目の敵にする必要はない。それ以上に自分が本当にやりたいことを見つけると、自然とやりすぎないようになっていく」という――。

※本稿は、杉浦孝宣『不登校・ひきこもりの9割は治せる 1万人を立ち直らせてきた3つのステップ』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Михаил Руденко)

不登校と併発することがある「起立性調節障害」

起立性調節障害は自律神経系の異常から循環器系の調節がうまくいかなくなり、立ちくらみ、寝起きの悪さ、倦怠感、頭痛などを訴える病気です。小学校高学年から中学生、高校生に多く見られ、日本小児心身医学会によると、不登校児童生徒の3割から4割が起立性調節障害を併発しているといいます。医師も原因不明としている場合が多く、詳しいことはまだわかっていません。

これが原因になって、朝起きられず、午前中は登校できなくなり、不登校や高校中退に至ったと相談に来るケースがとても多いのです。

しかし、起立性調節障害の生徒を見ていると、普段は起きられなくても、イベントで東京ディズニーランドに行く、スキー旅行に行くとなると、早朝の集合でも遅刻せずに参加できるのです。

今までの経験からすると、起立性調節障害があっても、親から押し付けられたのではない、自分の本当の目標が定まり、朝起きる明確な目的ができると、自然に起きて登校してくるようになります。たいていの場合、20歳ごろまでには自然に治っていきます。

発達障害でも不登校やひきこもりから脱出してる

発達障害(自閉スペクトラム症、その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害)があるといって相談に来るケースも増えています。私たちはそういった傾向があると軽く留意しながら指導するだけで、特別視することはありません。ひとつのパーソナリティ、個性としてとらえて普通に接しています。あまり色眼鏡で見て指導すると、かえってよくないと感じています。

発達障害が一般的に認識されるようになったのはここ10年くらいのように思いますが、その前までは、ちょっと個性のある子というくらいのものでした。ですから、私たちは個性のひとつくらいに考えて対応しています。それで何か特別困ったことはありません。そういった子でもほかの子と同じように、不登校・ひきこもりから脱出していきます。

ただ問題なのは、子どもが不登校になったり、退学や転学するのに手続きが必要となると、学校が「医師の診断書を持ってきてください」と要請することが多くなっていることです。