心療内科で「どんどん薬が増えていく」

親もどうしたらいいかわからないので、駅前にあるクリニックなどに子どもを連れていきます。精神科という言葉には心理的抵抗があるので、今は心療内科が主流です。心療内科でも診察対象に青少年の不登校・ひきこもり、思春期外来などと看板やホームページに記載していますから、親はここで診察してもらったら治るのかもしれないと思うのでしょう。

心療内科で診察された子どもたちは、うつ病、不安障害、適応障害、統合失調症、自律神経失調症など、さまざまな病気として診断されてしまいます。すると、さまざまな向精神薬が処方されます。Aという薬が効かなかったらBという薬に替えるというのが他の診療科では一般的ですが、精神科・心療内科では、Aに加えてBという薬も投与され、それでも効かなかったらさらにCを加えるというように、どんどん薬が増えていきます。

この向精神薬多剤投与は社会問題化していて、防止のために、平成30年には厚生労働省が多剤併用すると診療報酬改定で減算対象となるという通達を出しています(平成30年厚生労働省告示第43号「診療報酬の算定方式の一部を改正する件」)。しかし、現状では減算対象になるだけで、報告書を提出すれば多剤投与もできてしまうのです。

もちろん、全ての医師が多剤投与しているわけではありませんが、社会問題化していることは事実です。

「薬を飲むと、本当の自分じゃないみたいな気持ちで嫌」

私は専門家ではありませんので詳しい説明はできませんが、実際の生徒たちの感想を聞くと、薬で治すという方法に疑問を感じます。

例えば、高1の夏から1年半のひきこもりになっていたユウキくんもそうです。

ユウキくんが学校に行けなくなって1週間後、お母さんは学校のスクールカウンセラーに相談しています。すると、スクールカウンセラーからすぐに心療内科を受診するように言われます。翌週に心療内科を受診しました。すると、ユウキくんはうつ病、社交不安障害と診断され、自殺をする可能性があると判断されて病院に入院します。約1カ月後に退院し、その後は通院しながら3種類の薬を服用するように言われます。

その後、ユウキくんは高1をもう一度やりなおすことになって、4月から学校に通い始めましたが、「教室のなかで嫌な怖い感じがする」と訴えたため、医師はさらに薬を増やします。

ユウキくんは「薬を飲むと、頭がボーッとして、本当の自分じゃないみたいな気持ちになって嫌でした」と言います。外出するときだけの服用でもよいか主治医にたずねたものの、「飲み忘れると症状が不安定になるので、欠かさず飲むように」と言われて、飲み続けていました。ある時アルバイト先の知り合いに、「薬が効いてるの? 効いていないなら、飲まなくていいんじゃない?」と言われて、ハッとしたそうです。

「それで、薬を飲むのを一切やめて、病院へ通うのもやめました。すると、頭がボーッとする変な感じがなくなったのです」