いじめを受けやすいのは恵まれた家庭の子かそうでない子か

最後に、いじめと家庭環境の関係を見てみよう。

図表4には、OECD諸国の中では例外的といってよいのであるが、日本が、恵まれた家庭の生徒ほどいじめに遭っていることを示すデータを掲げた。

OECD諸国の中では、恵まれない家庭の生徒のほうがいじめに遭う割合が多い国が33カ国中25カ国と多くを占めている。その傾向が最も強いのはフランスである。

他方、日本は、恵まれない家庭の生徒が1カ月の間に何らかのいじめに遭う割合は18.4%であるのに対して、恵まれた家庭の生徒は25.6%とこれを大きく上回っており、フランスとは真逆の現象となっている。欧米では貧乏人の子ほどいじめられるのが一般的であるのに対して日本では金持ちの子ほどいじめられているというのだから実に対照的である。

図表4において、いじめが多い順位を調べて見ると、日本の場合、恵まれた家庭の生徒ではラトビアに次ぐ第2位と高い順位であるが、恵まれない家庭の生徒では19位と低いほうとなる。

恵まれない家の子ほどいじめられるフランス、恵まれた家の子ほどいじめられる日本

一般に勉強のできる生徒は家庭環境が恵まれている生徒であろうから、先ほど成績でいえたことは家庭環境でも成り立つと考えられるが、それが、データで実証されている格好である。

日本の学校では、勉強のできる子や恵まれた家庭の子に対するやっかみや足を引っ張りたい気持ちが強くなっているといえる。日本人に特徴的な「和をもって尊しとなす」精神が暴走した結果だともいえよう。