欧米と比べ「出る杭は打たれる」式のいじめが横行
まとめると、日本の学校のいじめは、頻度の高いいじめが多く、特定の個人をしつこく追い詰めるという意味でかなり深刻である(図表1)。また、いじめの種類では、「からかい」と「こづきまわし」が特に多い(図表2)。さらに、成績および家庭環境のどちらにおいても、欧米と比べて、「弱い者いじめ」としての側面は弱く、むしろ「出る杭は打たれる」式のものであるといえる(図表3~4)。
もし、「弱い者いじめ」だけをいじめとするなら、日本はいじめの多い国とはいえなくなると考えられる。ただし、いじめにも一理があったりするから、かえって、根絶が難しくてしつこいいじめが多くなるという面があろう。
このように、いじめの国際比較データを見ると、「頻度別の結果」も「いじめ種類」も「成績・家庭環境別の結果」も日本の状況は世界的な一般傾向からの著しい乖離が認められる。私の経験では、国際比較データでは、日本は世界の常識が通じないことが多く、その分、ランキングなどによる単純な判断が誤解を生む可能性が大きいので注意が必要である。
しかし、国際比較データは、それをよくよく吟味すれば、日本人の自己認識を深めることができるという意味で、興味深さもまたひとしおだといえる。